経済・政治・国際

2020年7月 1日 (水)

レジ袋有料化、高い?安い?その1

世界で最初にレジ袋を禁止にした国は?

いよいよ今日から日本もレジ袋有料化がスタートですね。よくわからない例外規定があったり、エコバッグでコロナに感染するリスクが?と話題になったりしていますが、とにもかくにもスタートです。

ちなみに、エコバッグ利用によるコロナ感染リスクを気にしても仕方ない、と専門家も明言されていますのでご安心を。

エコバッグ、コロナリスクは? 専門家「気にし過ぎ不要」―レジ袋有料化

専門家らは「エコバッグとレジ袋のどちらが清潔だという根拠はなく、気にし過ぎは良くない」と、過剰な心配は不要と訴える。

時事通信2020年7月1日

さて、日本ではやっと(例外もありつつ)有料化がスタートしましたが、世界の状況はどうなっているのでしょう?

少し古いデータになりますが、国連環境計画(UNEP)の2018年の報告によると、127ヵ国がレジ袋に対するなんらかの法規制を実施しており、うち83ヵ国は無料配布を禁止していました。特に発展途上国では、廃棄物処理の社会的なシステムが十分ではないこともあってごみ問題が深刻化していることを背景に、アフリカでは25ヵ国、アジアでは14ヵ国が国あるいは地方自治体でレジ袋の無料配布を禁止していると報告されています。

レジ袋の製造・無料配布・輸入を禁止している国

Fig1
出典)UNEP(2018) ”Legal Limits on Single-UsePlastics and Microplastics:A Global Review of National Laws and Regulations", p.16


ちなみに、プラスチック製レジ袋を最初に「禁止」した国はどこでしょう?

それはバングラデシュと言われています。バングラデシュでは、プラスチックごみにより雨水の排水が阻害され大規模な洪水が発生したことから、2002年にプラスチック製レジ袋の提供を禁止しました。ちなみに、レジ袋禁止によってもたらされた社会的な便益は、約5億8500万タカ、当時の為替レートで約10億円の効果があったとされています(Ahmed and Gotoh, 2005)。

外部性という問題

私は経済学を専門としていますが、経済学においてはごみ問題をはじめとした環境問題は、「外部性」によってもたらされる問題であると考えます。

外部性とは、ある経済主体の活動が市場を経由することなく、他の経済主体に影響を及ぼすことをいいます。

外部性が他の経済主体にとってプラスの影響をもたらす場合には「正の外部性」(あるいは外部経済)、マイナスの影響を与える場合は「負の外部性」(あるいは外部不経済)といいます。

和歌山県・友ヶ島の海岸に漂着したごみ

32623_613564638673143_753760712_n

では、外部性がきちんと価格に反映されないと、どうしたことが起こるでしょう。

もし正の外部性が存在する場合、その財がもたらすメリットが適正に価格に反映されないので、自由な市場においては社会的に望ましい水準に比べて過小供給となります。

一方、負の外部性が存在する場合、その財のもつデメリットが費用に反映されないため、社会的に望ましい水準よりも過大に生産が行われ、より大きな被害をもたらすことになります。

 

このことを図を使って説明してみましょう。

負の外部性と厚生損失

Fig2

縦軸に価格(P、横軸に財の生産量(Xをとります。

モノ(財)の価格が高いと少ししか買えませんし、安くなるとたくさん買えますよね。ですので、ある財に対する私たち消費者の需要量と価格の関係を示す需要曲線(Dは右下がりの線として描かれます。

  • 数学では、直線は曲線の一部(傾きが常に一定のもの)です。なので、需要「曲線」といいます。

一方、生産者の場合はというと、モノ(財)を作れば作るほど追加的に費用がかかります。これを限界費用(Marginal Cost: MCと言い、一般的には右上がりの線として描かれます。

  • 余談ですが、少し前に「限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭」(ジェレミー・リフキン、2015)という本が注目を集めました。IoT(モノのインターネット)インフラへと急速に移行することで、モノやサービスを追加的に生み出すコスト(限界費用)が限りなくゼロに近づくため、将来モノやサービスは無料になってシェアリングエコノミーが広がり、資本主義経済は大きく変わる、というお話です。この「限界」という言葉はmarginalの訳で、数学でいう微分のことですが、経済学を学び始めたばかりの学生が戸惑う言葉の代表格ですね。

さて、生産者は原材料価格や人件費、光熱水費といった「目に見える費用」は簡単に把握できます。この「目に見える費用」のことを私的限界費用(Private Marginal Cost: PMCといいます。そして、いくつかの前提条件を満たすとき、私的限界費用曲線(PMC)と供給曲線(S)は一致します。

何もしなければ、消費者の需要曲線(D私的限界費用曲線(PMCの交わるところE'で、生産量(X'価格(P'が決まります。

 

ところが、レジ袋をはじめとした使い捨てプラスチックは、生き物やヒトの健康への影響だけではなく、埋め立てごみの急増や焼却処分による温室効果ガスの増加、そしていつまでも分解しないことで海のプラスチック汚染を引き起こすなど、さまざまな環境問題の原因となっています。さらにはいったん環境中に流出したプラごみを回収するためには膨大な労力が必要です(というよりは回収不能です)。使い捨てプラスチックは負の外部性を持つ典型的な財といえるでしょう。

こうした社会全体におよぼす負の影響も含めたものが社会的限界費用(Social Marginal Cost: SMC)です

  • 社会的限界費用(SMC私的限界費用(PMCの差が外部性の大きさになります。ただし、それがいったいどれくらいの大きさになるのかは「よくわからない」というのがポイントです。だって、市場の「外部」の話なのですから!

さて、社会全体で見たときに望ましい生産水準(X*)は、というと、需要曲線(D社会的限界費用(SMCの交わる点(E)で決まります。

負の外部性(外部不経済)が存在する場合、社会的に望ましい価格よりも安く(P*→P')、社会的に望ましい量を超えて生産(X*→X’されてしまいます。

より安く、より多く、そりゃあいつまで経っても問題は解決しないわけです。

  • ちなみに、難しい説明は割愛しますが、負の影響は社会全体に損失をもたらします。それが図中のEE'Fであらわされる厚生損失です。簡単に言うと、社会から失われた「価値」や「富」です。より豊かになりたければ、すなわち社会的厚生を高めるためには、何とかしてこの厚生損失を無くさないといけません。

たとえば碓井・田崎(2016)では、全国のスーパーやコンビニを対象に、レジ袋などの容器包装について1)有償提供、2)景品等の提供、3)繰り返し使用可能な買物袋等の提供、4)消費者への意思、5)容器包装の量り売り、を比較したところ、1)有償提供だけが削減の効果があることを明らかにしています。

レジ袋もタダで配るのではなく、有料化(有償化)したほうがよさそうですね。では、レジ袋の「価格」はいくらであればいいのでしょう?

社会的に望ましい生産量(X*)において、生産者が認識できる私的限界費用(PMC)はP'となります。でも本当は、レジ袋の価格はそれより高い、需要曲線(D)と負の外部性を含む社会的限界費用(SMC)の交点(E)から導かれるP*でないといけません。

レジ袋有料化、といっても多くのお店では、せいぜい数円どまりです。それは単なる資材価格として、従来は商品価格に含まれていたレジ袋の費用を、私たち消費者に「見える化」しただけ。何か追加的に上乗せされたわけではありません、「有料化」されたわけではないんですよね

もちろん、「見える化」に一定の効果があることは事実ですが、本当に社会的に望ましい水準までレジ袋の使用量を減らせるのか、というと大いに疑問が残ります。

実際のところ、いったいレジ袋は何円にすればいいのでしょう?あるいは、ほかの方法はあるのでしょうか?次回はそうしたことを考えてみたいと思います。ではまた!

| | コメント (0)

2020年6月28日 (日)

レジ袋は海ごみのごく一部、というのは真実か?

7月1日からの全国一斉のレジ袋有料化を前に、議論が盛り上がっています。今まであまりに「使い捨てプラスチック」を何も考えずに使ってきた(国民1人当たりの使い捨てプラスチック消費量はアメリカについで世界2位!)ことを見直すいい機会になった、という意味ではレジ袋有料化の目的の1つはすでに達せられたといってもいいかもしれませんね。

さて、友人からこんなWebサイトを教えてもらいました。

脱プラ、脱ポリ、紙袋へ切り替えをご検討のお客様へ(清水化学工業株式会社)

ポリ袋は実はエコ商材なんです。

  1. ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない。
  2. 石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。
  3. ポリ袋は薄いので、資源使用量が少量で済む。
  4. ポリ袋は見かけほどゴミ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%。
  5. 繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的。
  6. ポリ袋はリユース率が高い。例)レジ袋として使用した後ゴミ袋として利用
  7. 都内ではサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり無駄とならない。
  8. ポリ袋は紙袋の70%のエネルギーで製造可能。
  9. ポリ袋の輸送に必要なトラックの量は、紙袋の7分の1。
  10. ポリ袋の製造に必要な水の量は、紙袋の25分の1。
  11. ポリ袋は紙袋に比べ、ごみにしてもかさばらない。
  12. 紙袋は再生できるものと再生できないものがある。ラミネート加工されているものや紐の種類によっては再生処理できない。
  13. 紙袋は間伐材とはいえ森林資源を利用。

出所)清水化学工業株式会社ウェブサイトより(2020/6/28参照)

 

海や川のごみ問題に取り組んできた立場からすると、頭がクラクラしそうなことが並んでいますが、レジ袋規制にたいするこうした批判や誤解は広くみられるものです。

 

本当にプラスチック製レジ袋は「エコ」なのか?

こうした主張の中で見落とされている大事な視点の一つが、「散乱ごみ」に対する視点です。こうした視点はペットボトルなどほかの使い捨てプラスチックに関する議論でも、長年見落とされてきたことでした。

レジ袋は、とても薄くて軽いものです。前回の記事でも述べましたが、手に持っていたレジ袋が風で飛ばされてしまった、という経験は誰しも一度や二度はあるのではないでしょうか?きちんとごみ箱に捨てられたり、ごみの集積場所に出されたはずのごみがネコやカラスによって散乱してしまっている光景もまだまだ見かけます。レジ袋をはじめ、プラスチック製フィルムは、簡単に飛散し、最後は海へと流れていきます。

では、海ごみの中で、レジ袋はいったいどれくらいを占めているのでしょう?レジ袋規制を批判する人がよく示す資料の一つに、下の表があります。

漂着ごみ(プラスチック類のみ)の種類別割合

分類 重量 容積 個数
飲料用ボトル 7.3% 12.7% 38.5%
その他プラボトル類 5.3% 6.5% 9.6%
容器類(調味料容器、トレイ、カップ等) 0.5% 0.5% 7.4%
ポリ袋 0.4% 0.3% 0.6%
カトラリー(ストロー、フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー) 0.5% 0.5% 2.7%
漁網、ロープ 41.8% 26.2% 10.4%
ブイ 10.7% 8.9% 11.9%
発泡スチロールブイ 4.1% 14.9% 3.2%
その他漁具 2.7% 2.6% 12.3%
その他プラスチック(ライター、注射器、発泡スチロール片等) 26.7% 26.9% 3.3%
  100% 100% 100%


出所)中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会(第3回)資料 p.78
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf (2020/6/28参照)

たとえば、先のポリ袋メーカーのサイトでも

容積ベースではポリ袋は海洋プラごみのわずか0.3%なのに、現在象徴的に非難されています。原因のウエイトと対策のウエイトが乖離しています。

と書かれています。

確かに漁具の占めるウェイトが圧倒的に多く、その対策が不十分なことは言うまでもありません(そして海ごみ問題に携わってきたNGOや研究者、行政関係者は長年その対策も要望しています)。

Img_6282

写真は長崎県対馬市のある海岸の様子です。地元のみなさんのご尽力で以前より大きくごみは減りましたが、それでも大量のごみが漂着し続けています。対馬は海流の影響もあり、特に韓国からのごみが多いことが特徴です。

Img_6235

処分場に集められた発泡スチロール製ブイ。この黒い袋の中はすべて海岸に流れ着いた漁業用発泡スチロール製ブイです。以前は本土まで船で運ぶしかなく、処理に多額の費用がかかっていました。

漁具の対策が待ったなし、ということは誰も否定していません。

ですが、この表を読むときには、少し注意が必要です。

まず、この数値について資料には、

※1 調査対象は、海峡を中心に、黒潮、対馬海流、親潮の影響を受ける場所という観点で、過去の調査との連続性も考慮して、平成22~27年度の間に調査した5地点に平成28年度に新たに選定した5地点を追加した計10地点。(全国の状況を表すものではないことに留意。)

と書かれています。この10地点は、海外もふくむ大量のごみが漂着する場所として、地元からも早くから対策の要望が出ていたところです。東京湾や大阪湾などの人口密集地帯からのごみの流出はこの調査結果からは残念ながら把握することができません。ですので、資料でも「全国の状況を表すものではないことに留意。」と明記されています。

そしてまた、こんなことも書かれています。

※3  発泡スチロール片等、回収中に破損等により個数が変化してしまう人工物の破片は、個数の計測はしていない。

海岸清掃に参加された方はわかると思いますが、海岸に流れ着いたごみでもっとも多いのはすでに原形を留めていない「破片」です。各地の海岸には、まるで砂のように粉々になったプラスチックが堆積しています。しかし、あまりに細かすぎて、また大量にあるため、こうしたごみを回収し、数をすべて数えることは不可能です。この破片の中には、レジ袋も多く含まれています(地域差はかなりあります)。

 

破片化するレジ袋

では、日本でもっとも多くの支川をもつ淀川水系のごみのようすはどうなっているのでしょう?上流から順番に、破片ごみも含めて見ていきましょう。

まず、淀川の上流、海から約70km遡った、京都府亀岡市の保津川古浜の調査結果です。

Hozugawa_01
調査日 2018年11月11日 出所)川と海つながり共創プロジェクト(2018)をもとに筆者作成

亀岡盆地をゆったり流れている間は、レジ袋も原形を留めていて、「ポリ袋・シートの破片」に次いで多く見つかります。ちなみに「ポリ袋・シートの破片」も多くはレジ袋の破片です。

曲がりくねった急流が続く保津峡の中に入るとどんな風になるのでしょう?

Hozugawa_02
調査日 2018年12月16日 出所)筆者作成

先ほどの場所からわずか数キロ下っただけですが、保津峡の中では、レジ袋はそんなに見つかりません。大雨の際には、保津峡は大きく増水しますが、急流で揉まれて、木々に引っかかって、どんどん破れて細かくなるので原形を留めたレジ袋は大きく減ります。

Img_2622

過去に私もこんな記事を書いていたのですね。

西友、レジ袋を全店舗で有料化へ(2012年6月 8日 (金))

わずか数キロ下った保津峡の中でも、レジ袋はもはや原形を留めていないことを紹介しています。

最後に、淀川が海にそそぐ河口ではどうなのでしょう?河口の海老江干潟の同じころの調査結果を紹介します。

Yodo_ebie
調査日2018年12月10日 出所)筆者作成

ここでは圧倒的にペットボトルが多くなっています。下の写真は、海老江干潟に群生するヨシの根元に絡まって破れたレジ袋です。河口部でもレジ袋は多くが破片化しており、実際の数を正確に把握することは困難です。

Img_5548

いったん環境中に流出したレジ袋を「数える」ことは困難

さらに日本の河口域や沿岸部の特徴として、特に大都市やその周辺では自然海岸が少なく、コンクリートの垂直護岸が多いため、ごみがそもそも溜まりにくい、ということもあり、実態の把握はより困難です。ここに挙げた例もほんの一例に過ぎず、わからないことはまだまだ多いのは事実です。

しかし、海に流れ出たレジ袋はかなりやっかいな問題を引き起こします。レジ袋自体は、比重が1より軽いので理論的には水に浮くはずです。しかし実際には、表面には微生物が繁殖し、その分重くなって海底に沈みやすくなります。

前回ご紹介しましたが、大阪湾の底引き網漁船に同乗して調査をしていても、網を揚げるたびにたくさんのレジ袋が引っ掛かります。

河口部や漁船に同乗した調査でも、レジ袋などのシート状のプラスチックが沈んで酸素の供給が遮断され、海や川の底がヘドロ化していることをよく見ます。沿岸漁業にとっては、間違いなく脅威の一つとなっています。

そして日本近海も含めてクジラやウミガメなどがレジ袋を誤飲、誤食して死亡した多くの事例が報告されています。また、レジ袋由来と思われるマイクロプラスチックは海鳥から小魚、さらにはプランクトンまで多くの生き物の体内からも見つかっています

海に流れ出たレジ袋は、海底に沈むか、あるいは破片化してマイクロプラスチックになってしまっているため、もはや見つけることが不可能、ということであり、決して少ないわけではありません。また、海や川でレジ袋を回収しようと思っても、土や砂を掘り返したり、木々の枝に絡まったものを一つずつより分けたり、と、大変な困難を伴うことが多いことは、清掃ボランティアに参加した経験をお持ちの方はご存じだと思います(ですので、重量や容積だけではなく、個数ベース=回収に必要な努力量で数えることも重要です)。

容積ベースではポリ袋は海洋プラごみのわずか0.3%なのに、現在象徴的に非難されています。原因のウエイトと対策のウエイトが乖離しています。

と、冒頭にご紹介した企業のサイトで述べられていますが、決してそんなことはない、ということは言えるでしょう。

 

その他の疑問についても、順番に考えてみたいと思います。では、また!

| | コメント (1)

なぜ、レジ袋規制が必要なのか?

本当に久しぶりのブログ投稿です。最後に投稿したは2015年12月、消すのももったいないので、放ったらかしにしていたブログですが、最近、プラごみ問題について、講演の依頼をいただいたり、取材をいただくことが多いので備忘録も兼ねて再開することとしました。

さて、再開後最初の投稿は、レジ袋規制について。今年7月1日より全国一斉にレジ袋の有料化が始まります。「やっと」という声もあれば「そんなの意味ない」という声まで、ネット上にも実社会でも賛否両論渦巻いていますが、改めて、なぜレジ袋規制が必要なのか、考えてみたいと思います(今日の投稿はfacebookに書いた記事を編集したものです)

Banner

 

なぜプラごみ全体の2%ほどしかないレジ袋なのか?という批判も確かにあります。

が、わずか2%しかないレジ袋をやめられなくて、なぜ一足飛びに残りの98%の削減に取り組めるのでしょう?レジ袋は、あってもなくても困らない使い捨てプラスチックの代表選手の一つです。どうしても必要なら、袋そのものを購入することは今でもこれからもできます。まあ、そもそもこれまでも「無料」で配られていたわけではなく、その費用は商品代金に上乗せされる形で、結局消費者が負担していただけですが。

2007年の京都市と東京都杉並区を皮切りに、すでに多くの自治体でスーパーを中心にレジ袋の有料化は実施されていて大きな混乱もなく、一定の成果を挙げていることも、国の取り組みを後押ししました。

 

レジ袋をポイ捨てする人が悪いのだから、モラルの問題だ!、使い捨てではなくごみ袋などに再利用している、という人もあります。

でも、持っていたレジ袋が風で飛ばされた経験は誰にでもあるのではないでしょうか?きちんと出したはずのごみが、ネコやカラスにつつかれて散乱している状況は珍しくありません。ポイ捨てばかりが原因ではありません。

Img_5825

レジ袋は、一旦環境中に流出してしまうと生物が誤飲・誤食する可能性が極めて高いものです。薄いレジ袋は紫外線で劣化してマイクロプラスチックになりやすい一方、日光の届かない土中や水中ではいつまでも漂っています。つまり、レジ袋は多くのプラスチックごみの中でも、生態系におよぼす影響という点でもきわめてリスクの高いモノです。たとえごみ袋として再利用したとしても、石油で出来たレジ袋を燃やしてしまえばCO2となり、温暖化の原因にもなります。

104759611_3606176512745259_6499228427792

上の写真は大阪湾の底引き網漁で網に引っかかったレジ袋です。

網を揚げる度、必ずレジ袋が引っ掛かります。大阪湾の海底には300万枚ものレジ袋が沈んでいると推計されています(琵琶湖・淀川流域対策に係る研究会 海ごみ発生源対策部会 報告書、関西広域連合(2019))。海や川の底に沈んだレジ袋は、酸素の行き来を遮断し、底質の悪化、つまりヘドロ化も引き起こします。

漁師さんは「昔はいくらでも魚もエビも獲れたのに、今はごみの中から獲物を見つけてるようなもの」と嘆かれています。

衝撃…レジ袋・プラごみ、大阪湾に「900万枚」沈んでいる

関西広域連合は、大阪湾のプラスチックごみを調査した結果、レジ袋約300万枚、ビニール片約610万枚が海底に沈んでいるとの推計を11日、大阪市でのシンポジウムで明らかにした。また同日、小売りや飲料メーカーなどの業界団体と連絡会議を発足。プラごみ削減に向けた具体策を検討する。(産経新聞 2019/6/12

200323_
提供)桂川河川レンジャー

上の写真は、2003年の台風23号による増水で木々に引っかかったレジ袋などのプラごみです。レジ袋の多くは雨が降ると町なかから川へと流れ出し、川から海へと下っていきますが、木々にレジ袋がたくさん引っ掛かり景観を大きく損ねます。観光地にとっては死活問題ですが、地域のみなさんのボランティア清掃に頼っているのが現状です。

生態系やヒトの健康への影響はまだまだ未解明な点も多いプラごみ問題ではありますが、漁業や観光など、地域にとって重要な産業にとってはすでに「現実の脅威」となっています。

 

レジ袋の原料のナフサは石油の精製過程で出てくる副産物を有効利用しているだけだ、という人もいまだにあります。

レジ袋の原料となるHDPE(高密度ポリエチレン)は、日本は今や輸入超。付加価値の低い汎用品の国内生産はどんどん減っています(下図)。たとえ副産物だとしても、わざわざ大量のエネルギーを使って海外から運ぶ(そして私たちが稼いだお金を流出させる)必要性もありません。世界がパリ協定を守るための脱石油社会の実現に向かう中で、漫然と石油由来のプラスチック製品を作り続けることは企業にとっても大きなリスクです。

Graph_hdpe_20042019
出所)財務省「貿易統計」各年度版より筆者作成

確かに今回の国の有料化は、不十分と言わざるを得ないものです。

だからと言って、「レジ袋の有料化はダメだ」というのではなく、ここからどう進んでいくのか、明確なロードマップを社会全体で示さないといけません。そしてどこの国でも、「その先」は地方が率先して取り組むことで道を切り開いています。


幸い、日本には優れた技術はあります。遅れているのは社会の仕組みづくりです。

今こそ、国にやってもらったらいい、お上に倣え、ではなく、地方からNew Normalの時代にふさわしい取り組みをどんどん広げていきたいですね。そんなことを思いながら、記者のみなさんとお話ししています。

| | コメント (0)

2015年12月23日 (水)

いわゆる「ふるさと納税」について少し考えてみた(その2)

前回に続いて、ふるさと納税について考えてみたいと思います。

自治体間の財政力格差を是正しようと始まった「ふるさと納税」は、都市部に住む住民が住民税の一部を自分の出身地などの自治体に振り替える仕組み、と言えます(実際には納税では無く、自治体への寄付ですが)。

地方部で生まれ、その町で教育を受けた子供が、大きくなって都会に移り住み、そこで働き、税を都市部の自治体に納める、ということは、見方を変えると地方部が人々の教育費用を負担したのに、生産活動は都会で行って都市部の自治体に納税で貢献している、つまり都市部はその人の教育費用を地方部に「ただ乗り」してしまうことになります。

そこで、大人になった人々が都市部にもたらした「果実」の一部を、人々が若い時にその教育費用を負担した地方に還元しよう、というのが「ふるさと納税」の基本的な考え方と言えるでしょう。

続きを読む "いわゆる「ふるさと納税」について少し考えてみた(その2)"

| | コメント (0)

2015年12月20日 (日)

いわゆる「ふるさと納税」について少し考えてみた(その1)

年末を迎えて何かと話題の「ふるさと納税」。正確にいうと、「都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで、原則として所得税と合わせて全額が控除されます。」「ふるさと納税ポータルサイト」総務省)。つまり好きな自治体に寄付をして、その分、納税額を減らせる!という仕組みですが、豪華な返礼品ばかりが話題となって、もはや「節税できる通販サイト」状態・・・

というわけで「ふるさと納税」について少し考えてみました。

「ふるさと納税」制度が始まったのは2008年度からで、本来の目的は都市と地方の財政格差を縮小するために導入された制度です。例えば、全国平均を100として、都道府県別に人口1人当たり税収額を比較してみると、上の図のように、地方税収計については、東京都が167.7で最も大きく、最低の沖縄県の64.9と比べると約2.6倍の格差となっています。

続きを読む "いわゆる「ふるさと納税」について少し考えてみた(その1)"

| | コメント (0)

2015年12月18日 (金)

「高齢者に3万円給付」のお話について

各所で話題の「高齢者に3万円給付」のお話。高齢者を敬う、ということとはまったく別の次元の話で、(そもそも制度の出来は良くなかったけれども)子供1人につき3千円/年を給付するという子育て給付金(子育て世帯臨時特例給付金)は軽減税率導入と軽減税率導入と引き換えに廃止(それはまあいいとして)。なのに「低所得」の「高齢者」には3万円給付・・・。

続きを読む "「高齢者に3万円給付」のお話について"

| | コメント (0)

2012年6月21日 (木)

誰のための“公共”施設か?

Img_5276

昨日(6/21)の報道ステーションでも取り上げられた武雄市の図書館問題。すでに各所で報じられているのでご存知の方も多いとは思いますが、TSUTAYAでおなじみ、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)指定管理者として市立図書館の運営を委託する、というもの。

続きを読む "誰のための“公共”施設か?"

| | コメント (0)

2012年6月 8日 (金)

西友、レジ袋を全店舗で有料化へ

Img_7244

何気なくニュースをみていたら「西友がレジ袋有料化に方針転換 1枚2-3円」という記事が目に入りました。

続きを読む "西友、レジ袋を全店舗で有料化へ"

| | コメント (0)

2012年5月15日 (火)

今日は沖縄本土復帰40周年の日です

Img_5141

あと数分になりましたが、今日は沖縄の本土復帰40周年の日でしたね。太平洋戦争が終わってからは、もう65年。今の学生さんからしてみたら、もうずいぶん昔の、「歴史」上の出来事なのかもしれません。

続きを読む "今日は沖縄本土復帰40周年の日です"

| | コメント (0)

2012年4月30日 (月)

和歌山・友ヶ島で、「無人島ごみひろい」へ行ってきました!

Dscf0269

今日は、和歌山県の友ヶ島で行われた「無人島ごみひろい」にゼミ生と一緒に参加してきました。いやもう、ただただ疲れた。こんなに「達成感」のないごみ拾いも初めてじゃないか、というくらいに、疲れました。その理由は・・・。

続きを読む "和歌山・友ヶ島で、「無人島ごみひろい」へ行ってきました!"

| | コメント (0)