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2015年12月18日 (金)

「高齢者に3万円給付」のお話について

各所で話題の「高齢者に3万円給付」のお話。高齢者を敬う、ということとはまったく別の次元の話で、(そもそも制度の出来は良くなかったけれども)子供1人につき3千円/年を給付するという子育て給付金(子育て世帯臨時特例給付金)は軽減税率導入と軽減税率導入と引き換えに廃止(それはまあいいとして)。なのに「低所得」の「高齢者」には3万円給付・・・。

Average_income2014_2

本当にお困りの方に給付するというのならまだしも(それも問題ありありですが)、まずもって本当に高齢者は「低所得」=「貧困」なのか?、と。

厚生労働省が毎年出している「国民生活基礎調査」の平成26年版によれば、世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所得金額をみると、「50~59 歳」が722万2千円で最も高く、次いで「40~49歳」、「30~39歳」となっており、(社会人になったばかりでそれは致し方ないとして)最も低いのは「29歳以下」の316万円となっています。たしかに「65歳以上」の高齢者世帯も423万9千円であり、「所得水準は低い」ということはできるでしょう。

ちなみに「所得」の定義は、所得税とは少し異なります。たとえばサラリーマンの「雇用者所得」は雇用者所得「世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額をいい、税金や社会保険料を含む。」ものということです。ですので、「所得」というよりは「収入」、といったほうがいいかもしれません。

しかし、本当に給付が必要かどうかを考える際には、フローの値である「所得」ではなく、ストックの値、すなわち「資産」を見ないといけないはずです。たとえば、国民年金しかもらってないけれど、預貯金や金融資産、土地がある、という高齢者も少なくないはずです。普通に考えれば、退職後は所得は減りますが、貯蓄という資産は高齢者ほどあるわけで。

ということで、代表的な金融資産である貯蓄の状況を見るために、総務省が出している平成26年家計調査年報(家計収支編)を見てみると・・・。

Average_savings_debt_2014
文字通り「けた違い」の結果に。40歳未満の世帯では貯蓄が562万円(そして負債は934万円で大幅に負債超過)となっているのに対して、60歳以上では2,000万円を超えて、大きく貯蓄超過になっています。

ネットでは、それに加えて、高齢者世代は「所得倍増計画」や「バブル経済」の恩恵を現役時代に受けているのに・・・、という声もあふれていますね。

「子育て給付金は廃止なのに…」高齢者への“3万円の臨時給付金”了承に、嘆きの声(irorio)
http://irorio.jp/nagasawamaki/20151217/288987/

同じ配るなら、未来への投資につながる子供たちへ。生活が苦しい高齢者には現役世代が主として納めた税金よりも、同世代内での再分配でお願いしたいものです。

ほんとにいいのでしょうか、こんなことで・・・。

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