お魚救出大作戦
気が付けば、ずいぶん久しぶりのブログ更新です。今日は、京都府亀岡市内を流れる小川「牧田川」で、河川改修にともなう魚たちの救出作業が行われました。今年の冬にも魚の引っ越しを行ないましたが、この秋からまた工事が始まる、ということで行われた救出作戦。
一連の経緯は、このブログでもご紹介してきましたので、ご覧ください。
私個人としては、いくら考えても納得のいかない工事ですが、現実にはなかなか難しい問題もたくさんある中で、河川管理者である市役所のみなさんも出来うる限りの対応をしてくださり、また、今日もたくさんの方がボランティアに駆け付けてくださいました。
今回の作業も、Facebookを通じて呼びかけました。たくさんの方にシェアもしていただき、雨の降る寒い朝にも関わらず、30人ほどの方が集まって下さいました。工事を担当されている市役所からは、担当課以外からも。また、近くにお住いの方や建設会社の方はお子さんも一緒に。保津川のラフティングカンパニーからは、人材交流で来られているネパールの方々も来て下さいました。
バケツが不足するかも、ということで、ご家庭のバケツを持参して頂けたら、とお願いしていたら、みなさんバケツを抱えてやってきてくださいました。そのバケツと、市役所で用意して頂いた網を手に、胴長や長靴で川の中へ!ラフティングのインストラクターのみなさんは、寒いのに「大丈夫ですよ!いつも水の中ですから!」とサンダルと水着で川の中でざぶざぶ。慣れてらっしゃるとはいえ、すごいなあ。
みんなで網を片手にガサガサ。私にとっては子供のころからの遊び場所。以前は川岸に雑木林があり、カブトムシやクワガタを獲り、ホタルを見に来た場所でもあります。そんな身近な自然がまた一つなくなってしまうのは、本当に残念。
ちょっと「ガサガサ」すると、ご覧のとおり。こちらはカワムツ。
こちらはドンコ。肉食魚のドンコは、こういう川では魚の生態系の頂点に位置する魚です。つまり、エサとなる小魚やエビがたくさんいるからこそ、こんな魚も生きていけるわけです。以前はどこにでもいた魚ですが、最近ではほとんど見かけなくなりました。でも、今日は10匹は捕まえられたでしょうか。
魚とりって不思議なものですね。こういうのを「童心にかえって」というのでしょうか。魚の他にも、トンボのヤゴやエビ、タニシにカワニナにシジミに、といろんな生き物が獲れます。初めてお会いした方も、みんなニコニコ。
今、すぐそばで宅地が大規模に開発されていますが、ほとんど完成したけれどまだ使われていない道路が川の傍まで来ていることもあり、今年の夏は遊びにやってくる子供達の姿も多く見かけました。子供の遊び場、心の教育、っていろいろ言われてますが、なんでこういう安全に魚とりが出来る場所をどんどん無くしていくのでしょうね。
救出できた魚たちは、市役所の職員さんが手際よく、あらかじめ決めておいた放流ポイントへ移動させてくださいました。といっても、川にはその場所ごとの、生き物が生きられるキャパシティがあるわけですから、単に移動させるだけでは、根本的に「救出」した、ということにはならないんですけれどもね。。。
予定していた作業時間になったので、ひとまず終了。最後に、NPO法人亀岡・人と自然のネットワークの方から、今日、獲れた魚について説明をしてくださいました。今日はカワムツ、ドンコ、ドジョウ、ヨシノボリの4種だけでした。以前は、ほかにももっといろんな魚が住んでいた川ですが、周辺の工事によって、雨が降るたびに粘土質の土砂が流れ込むようになったからでしょうか。数はともかく、種類が寂しくなってきたことも、残念です。
みなさんがお帰りになってから、今後の工法についても現場をみながら話し合いました。上の写真のように、工事が行われた直後はまるで「鏡のような」コンクリ3面張りだったのですが、夏場には干上がってしまっていました。そもそもの工事の目的の一つが、農業用水の水量の確保ということがあったのですが、上の写真のような状況では、そもそもの目的すら果たせていない上に、魚の行き来も出来なくなってしまい、まさに川が「断絶」してしまいます。
ということで、わずかばかりですが澪筋をつけていただくことになりました。水が地中に浸み込んでしまうから、とコンクリ張りにされたわけですが、こんな小さな澪筋をつけるだけで、水は干上がりません。
ただ、単に澪筋をつけるだけでは流れが単調になり、魚が休む場所もない上に、鳥などの天敵の恰好の餌食になってしまいます。そこで、上の写真でもよく見るとお分かり頂けると思いますが、澪筋の中に、石を並べたり、木を入れたり、ということを試してくださっています。
で、上の写真。これはその「試験」ではなく、工事現場に遊びに来た子供たちが勝手に置いていった石なんだそうです。子供達は分かっているんですよね、どんな川が楽しいのか。子供達が楽しい川は、魚たちにとっても居心地のいい川なんだろうなあ、と思いました。
いい川づくり。こんな小さな川ひとつ守っていくことすら、現実には大変な困難を伴います。というか、守れていない。でも、そんな中でも、一生懸命に考えてくださる地域の方や、市役所の方がいらっしゃることが大変うれしくもあります。
最後になりましたが、今日の作業をお手伝いくださったみなさん、本当にありがとうございました。
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