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2012年6月21日 (木)

誰のための“公共”施設か?

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昨日(6/21)の報道ステーションでも取り上げられた武雄市の図書館問題。すでに各所で報じられているのでご存知の方も多いとは思いますが、TSUTAYAでおなじみ、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)指定管理者として市立図書館の運営を委託する、というもの。

武雄の図書館、詳しい話はこちらをご覧ください。まぁ、ネット上には、賛否両論、玉石混交、とにかくいろんな議論があふれていますが。

民間委託の是非、プライバシー保護、などなど議論は尽きないわけですが、その行方には期待しながら注目しています。なぜなら、「“公共”施設」といいながら、実際にはあまりに運営者側の視点に立った、運営者の「都合」でしかないケースがあふれているから。

たとえば、図書館。私の住む亀岡市では、月曜休館、開館時間は午前9時~午後6時。金曜日は午後8時まで空いています。まあ、全国のほかの図書館と比べたら、まだ頑張っていらっしゃるほうだとは思います。働いている人にとったら、駅前に分館などもありますが、なかなかに利用しづらい時間です。特にベッドタウンの亀岡市では、京都や大阪に通勤している人も多いわけですが、これじゃムリです。

しかも、せっかく遅くまで開いている金曜日ですが、毎月最終金曜日は「蔵書整理日」ということで休館。市民サービスの向上のために開館時間を延長しているはずなのに、その日を「業務」でつぶしてしまう、という発想が「???」

図書館だけではありません。

たとえば、保育所は土曜日には、通園している子供だけじゃなく、子育て支援事業ということで未就学児とその保護者にも一般開放され、いろんなイベントが行われています。

それ自体はいいことで、どんどん広がればと思うのですが、なんと「事前予約制」。小さな子供がどの土曜日(の限られた時間)に機嫌がよく、連れて行けるかどうか、なんてこと、親でも予測不能です。食事やおやつの用意が、ということならわかりますが、「なぜ事前予約が必要なのか?」は「人数把握」以外に理由が示されているわけではなく・・・。事前予約をダメといいたいのではありません。それが必要なら、むしろ積極的に活用すればいいわけですが。でも、どう見ても、申し込まくてもいいんじゃない??という事業がほとんど。

もっとビックリなのが生涯学習施設でもある「ガレリアかめおか」に併設されている「かめおかっこ広場」。

さまざまな事業が行われています。その一つ一つはとても楽しそうな、意味のある事業だと思います(だから応援したい)。実際、ここは良かった、ずいぶんお世話になった、そういう声もたくさん聞きます。

当然ながら、定員がある事業は事前申し込みが必要です。で、その申し込み方法が「受付期間中に直接来館していただき、お申し込みください」・・・。

電話やファックス、webサイトやメール、そういう方法も今の世の中いくらでもあるのに、「直接来館」での申し込み!(ちなみにこちらは社会福祉協議会の運営です)

たとえば、子供が大好きなキャラクターが来て、あるいは野外活動のような全管理上、人数を把握し、それにあわせてスタッフを配置しなければいけない。そういうことであれば、当然ながら事前申し込み制も必要でしょう。ですが、そういうわけでもない上に、さらに申し込み方法をきわめて限定的な手段に限ってしまう。

これじゃあもう、運営者側の都合でしかないのでは、といわれても仕方ないわけで。。

利用者(=市民)の事情を考慮せずに、運営者側の都合だけを考える。そんなことをしていては、最大の理解者・支援者であるはずの市民から見放されてしまいます(運営側からしたら、事業の継続に一番必要なのは市民の声ですから)。

地方公務員の仕事の多くは、地味な「処理」的な業務がほとんどだと思います。だからこそ、仕事に職員さん自身が「自分に任せられた仕事だ」というやりがい(オーナーシップ)を持って取り組んで頂くことが何より大事だと思います。「官」と「民」の一番の違い、実はコストではなく、そういう「実感」をスタッフに抱かせられるかどうか、なのかもしれません。とすれば、「民」でもそうそう上手く行ってるところばかりではないわけで、「官」でも出来る、「官」だからこそ出来ることもあるのかもしれません。なのに、自分で自分の首を絞めているような、「運営側の都合」。もしかしたら、事業を実施することがあまりに大変で、そこに気付く余裕が現場にはないのかもしれません。

冒頭でご紹介した武雄市の図書館でも「民間委託」ということに対する、漠然とした懸念がいろいろな方から示されています。そういう意見の中には、なるほど、とうなずけるものもあって、こういう議論が起こることが大事なんだなあ、と改めて感じています(「民間事業者」アレルギーみたいな意見は論外ですが)。

誰のための公共施設なのか?、誰にメリットをもたらすために運営方法を考えるのか?

自治体直営によって実現するコスト以外の価値を訴えるのであれば、「官」でも、いや「官」だからこそ出来ることを考え抜かないといけません。代わりはいくらでもある(事業がたくさん)。

と、ここまで書いてきて思いました。これはNPOの運営でも同じかもしれませんね、自戒を込めて。住んでよかったと思えるまちづくり、「官」だから、「民」だから、とヘンなレッテル貼りをするんじゃなく、みんなで知恵を出し合いたいものです。「やりたい人がやる」、それが一番社会のコストを下げるのですから。

追記

Faceboookでも書いたんですが、事前申し込みがダメといいたいわけではないんです。でも、実際に申し込んでも行けないことも、「今週はダメかな~」と思っていても、いざその日になったら行けたなあ!なんてことは十分にあるわけです。

だったら事前申し込みをしてくれた人には、たとえばおやつがある、とかポイントがたまる、とか、そういう特典を示すとか。早期予約特典、とかいろいろなところであるわけで、そういう「仕組み」を改善することで市民のみなさんの受け止め方や関心の持ち方は全く違ったものになるだろうな、と思います。

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