セーフコミュニティの町で悲しい事件が起きました
私の住む、京都府亀岡市で、通学中の子供たちの列に無免許運転の暴走車が突っ込み、沢山の子供たちや親御さんが巻き添えになる、何ともやりきれない事故が起きました。いや、事故というよりは、事件でしょう。
事故を起こした車を運転していたのは18歳の「少年」。一晩中友人達と遊んだ帰り、居眠り運転をしてしまったと話しているとか。 巻き添えになった子供たちの通う学校の、すぐ目の前。この小学校は私の母校でもあります。死者2人、といいますが、犠牲になったお母さんは、妊娠7ヶ月。こんな事故でなければ、今の医療技術をもってすれば、十分に助かった命のはず。
もちろん、一番の原因は車のドライバーにあります。これは、言うまでもない。未成年であろうと関係ない、すべてのドライバーは運転することに大きな責任を負いますから。 ただ、あえて書きたいのは、私たちの町は、本当に一番弱い人の立場に立ったまちづくりが出来てきたのか?ということです。
亀岡市は、WHO(世界保健機構)から、セーフコミュニティの認証を国内で初めて受けました。 その陰では、地元のみなさん、行政のみなさんの地道な取り組みが続いていました。そして、事件の起きた篠町は、その亀岡市の中でもモデル地区として様々な取り組みが進められてきました。
ただ、そうした取り組みとは別に、課題も改めて浮き彫りになりました。なぜ、通学時間に車がやってくるのか。現場付近では、危険性が以前から指摘され、道ばたの用水路に蓋をして道路を拡幅する工事が行われました。しかし、皮肉にもそのことで車が「走りやすく」なってしまったのも事実。 たとえば、かまぼこ状の段差を設けたり、クランクを設けて物理的にスピードを出させない、そういう道路づくりも選択肢としてあり得たのではないかと思います。
また、今、町中には、行き場を失った子供たちがたくさんたむろしています。中高生の多感な時期。少しくらい道を踏み外しそうになることは、誰にだってあることです。 かつて、亀岡の学校は大変荒れた時期がありました。当時、もちろん現場の先生方はもちろん必死で子供達と向き合われたと思います。ただ、それから20年以上経って、再び荒れた学校が問題になっています。
当時と今とでは、社会のありようも家庭のありようも大きく異なっていますが、果たして十分な対応がなされているのか。教育という職業に携わる一人として、残念ながら疑問を感じる場面も少なくありません。
今、亀岡では、京都府の大規模スポーツスタジアムの誘致を進める運動が、突如として巻き起こっています。ただでさえ厳しい財政状況の中で、そのメリット・デメリットを幅広く議論した上で、それでも市民が必要性を感じ、負担も甘受するというならわかる話ですが、そうした議論はまったくなされていません。
何億円もの地元負担、その一部でも回せば、地域のこうした危険性の多くは解決できるでしょう。 セーフコミュニティの名に恥じない、子供やお年寄りが安心して暮らせる町とはどんな町なのか。子供は地域の宝、こんな事件は繰り返されていいはずがありません。
子供を持つ1人の親として、私なりに考えていきたいと思います。
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コメント
未成年の前に無免許運転と車を貸した人が自分の犯した間違いを分かってるのか? 未成年だからきちんと罪を…
投稿: 佐藤母 | 2012年4月24日 (火) 14時22分
>佐藤母様
コメントありがとうございます。ご指摘の点、言うまでもないことです。運転していた本人や車の所有者に一義的な責任があるのは、議論の余地のないところです。
その上で、ということですが、以前より危険性は指摘され、実際に、同じ道路の別の場所で、立て続けにスピード違反の車による死亡事故が起こっていました。
今回の事故は論外ですが、じゃあ、免許を持っている人が居眠り運転で同様の事故を起こす可能性はゼロか、というと、それは分かりません。だからこそ、道路の構造で万が一の可能性をさらに減らすことが必要なのではないかな、と思います。
そういう意味でも、かえすがえす残念な事故です。
投稿: harada | 2012年4月24日 (火) 14時38分