川から海へ、ごみを無くすために
今日の会議では、8月24日(金)~26日(日)に、京都府亀岡市で開催予定の「海ごみサミット」について、地元の亀岡市のみなさんと議論してきたことを踏まえて、長年この問題に取り組んでこられたJEANのみなさんと一緒に意見交換、サミットの骨子について考えました。
今、震災の津波によるガレキが大きな注目を集めています。
しかし、津波で大量の瓦礫が海に流出してしまう以前から、実は日本は北太平洋最大の海ごみ排出国であったのも、残念ながら事実です。たとえば、ミッドウェイ環礁での調査では、海岸に漂着しているごみのだいたい半分は日本起源のものであることが、以前から指摘されてきました。
では、その多くのごみは一体どこからやってくるのか?実は、海ごみの多くは、国内の陸域由来、つまり川を通じて海に流れ出したものです。
川のごみの主役(?)、ペットボトルについては、たとえばデポジット(預託金)制度など、これまでいろいろな場でその必要性が議論されてきたものの、実際の制度導入には至りませんでした。それには出来なかった「理由」があったわけです。「メーカーは売りっぱなしでいいのか?」と非難することは簡単ですが、モノを選ぶのは消費者。
結局は、みんなが見て見ぬふりをしてきただけではないでしょうか。
3年前に関係者のみなさんの多大な努力で、国会で全会一致で成立した「海岸漂着物処理推進法」という法律があります。
この法律、その正式名称は「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」といいます。“美しく豊かな自然を保護するための”という一言を入れるかどうか、かなり緊迫した議論があったと聞きます。
なぜなら、海のごみは海だけの問題ではない、日本の環境全体の問題なのだ、ということを訴えたかったからです。当然、そうなるとどこまでを政府・自治体の責任範囲とするのか、という議論がくっついてくるわけで、この一言を入れるかどうか、が大いに議論となりました。
この法律では、海ごみ対策の柱は「発生抑制」と「回収・処理」であることが明記されています。ここ数年で、曲がりなりにも「回収・処理」を進める体制の構築は進みつつあります。しかし、「発生抑制」は、まだ緒に就いたばかり。
そうした中で、京都府亀岡市は、海のない内陸部の自治体として、全国ではじめて総合計画(第4次亀岡市総合計画前期基本計画)において「保津川をはじめとする市内河川における漂着ごみの発生抑制に向け、流域の住民・事業者・自治体の連携による効果的な発生源対策等に取組みます。」と、漂着ごみの発生抑制に取り組むことを明記しました。
私も総合計画の審議会委員をつとめていたのですが、この文言を入れるために、かなり議論を重ねました。だって、別に内陸部の自治体は、現行法上はこんなこと、義務でもなんでもないわけですから。しかし、委員のみなさん、議会のみなさん、そして市役所職員さんたちのお力添えもあって、最終的にはこの文言が明記されることとなりました。
海岸漂着物処理推進法の第5条には、次のように書かれています。
「海岸漂着物対策は、海岸漂着物が山から川、そして海へとつながる水の流れを通じて海岸に漂着するものであって、その発生の状況が環境の保全に対する国民の意識を反映した一面を有するものであることにかんがみ、海岸漂着物等に関する問題が海岸を有する地域のみならずすべての地域において共通の課題であるとの認識に立って、海岸漂着物等の発生の効果的な抑制が図られるように十分配慮されたものでなければならない。 」
海のない、川の上流部の町で、全国ではじめて宣言された漂着ごみの発生抑制への取り組み。川から町、そして海へというつながりの中で、私たちは何が出来るのか、全国のみなさんと一緒に考える、そんなサミットにしたいと思います。
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