「不都合な真実」
話題の映画、「不都合な真実」を見てきました。
京都の冬は底冷え、というのが当たり前だった“はず”ですが、今年の京都は、全国各地の例に漏れず、連日最高気温が10度を上回る、春のようなポカポカ陽気。今日なんか、15度まで気温はあがっていました。
もしこのぽかぽか陽気が「お布団が干せる!」「コートなしでも外出できる~」、なんてことを言ってられない事態の前兆だったら、皆さん、どう思いますか?日本では珍しかったはずの竜巻や巨大台風、そして旱魃が私たちを襲うとしたらどうですか?
まさしく「今そこにある危機」、そう地球温暖化問題に対して、真正面から取り組み、私たちに問いかける映画が、この「不都合な真実」です。
アメリカではドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録(ドキュメンタリー史上第3位)し、アカデミー賞にもノミネートされています。わが国でも大ヒットし、マスコミにも取り上げられることも多いので、タイトルをお聞きになった方も多いかもしれません(ちなみに昨日の500円で鑑賞できるキャンペーンでは京都でも映画館は満席だったそうです)。
この映画の制作・主演、つまり主役はかつてクリントン政権で副大統領を務め、2000年のアメリカ大統領選ではブッシュ現大統領と大接戦の末敗れた(しかも本当は勝っていた)アル・ゴア氏。彼は、副大統領時代、クリントン大統領のもとで「情報スーパーハイウェイ構想」を実現し「インターネット」を世界に広め、日米貿易摩擦問題ではわが国にかの「スーパー301条」を突きつけるなど、非常に有能な政治家として知られています。また、同時に以前から環境問題への関心の高さでも有名な政治家でもあります。
そのゴア氏が世界各地で起っている異常気象の現場を自らの足で訪ね、科学者とともに調査・研究した成果を、アメリカを中心に世界各地で1,000回以上でスライド講演し、その様子を映画にしたのが、「不都合な真実」です。
産業革命以降、特に第2次世界大戦の後、われわれは「便利」で「快適」な、非常に「高度」な文明生活を営むことが出来るようになりました。が、その反面、すさまじい環境破壊が世界各国で行なわれているのもまた事実です。そして、その影響で地球全体の温度は除々ではあるが確実に、そして近年は急激に上昇しており北極の氷が40%も縮小(あと数十年で北極の氷は消失する、といわれています)、海面の上昇による水没はもはや太平洋の島嶼国だけの問題ではなくなっています。台風の巨大化やゲリラ雨はすでに現実のものとなり、それはさらにひどくなるといわれています。そしてまた、この日本ですら干ばつに見舞われる、と警告されています。
生き物の世界でも異変が起こり、森林資源や海洋資源の喪失、さらにはSARSや鳥インフルエンザなどの原因不明のウイルスのニュースを聞かない日はない、といっても過言でありません。
増えすぎた人類を賄えるだけの食糧生産には限界があり、近い将来、世界的な規模での食糧危機を招くともいわれています。
つまり私たちは絶滅に向かいつつある、という、そんな悲劇的な状況を、ゴア氏はしかし、ユーモアタップリに分かりやすく説明してくれます。そして、この悲劇的な結末を避けることは、何も難しいことではなく、私たちの少しずつの心がけで、実現できるのです。
話は少し飛びますが、バブル崩壊後の長引く不況と、危機的な政府の財政危機を目の当たりにして、若い世代の人たちは「一体、上の世代の人は何をしていたんだ?」「問題を先送りするから、私たちがこんな目にあうんだ」といいます(私もそう思います)。ですが、この地球温暖化問題では、それこそ私たちが、子や孫の世代からそういわれかねない問題なのです。
決して堅苦しい映画ではありません。むしろ、楽しく見られる映画ですらあります。ぜひ、映画館に足を運んで、ご覧になってください。
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