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2012年2月 6日 (月)

川の漂着ごみ問題を考える座談会

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先日(1月25日)、ゼミ生が調査の一環で川の漂着ごみ問題を考える座談会を実施しました。

この座談会は、NPO法人亀岡子育てネットワークのみなさんのご協力のもと、昨年12月に実施した、亀岡市内の子育て世代のお母さん方を対象にしたアンケート調査の結果を踏まえて、京都・保津川の漂着ごみ問題について率直なご意見を伺おう、と実施したもの。当日は、20代から50代までの子育て世代のお母さん方と、亀岡市環境政策課のご担当の方にお集まりいただき、漂着ごみ問題について議論しました。

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私のゼミでは、毎年11月に嵐山で観光客のみなさんを対象にしたアンケート調査を1,000人から1,500人規模で実施しています。

このアンケート調査では、嵐山を流れる保津川(大堰川)の漂着ごみ問題について、観光客のみなさんの支払意志額(Willingness To Pay: WTP)を、仮想市場評価法(CVM)という手法を用いて調べています。

ちなみに、今年度の結果はまだ出ていませんが(ゼミ生、ガンバレ!)、昨年度の支払意志額の中央値は1人あたり年間1,869円

これが多いか少ないか、は議論の分かれるところですが(たとえば知床や四万十川での同様の研究では2,000円を超えています)、たとえば、これに嵐山を訪れる観光客数(約800万人)を乗じると、総額で100億円近くになります!

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つまり、この保津川(大堰川)で漂着ごみ問題を解決するために、観光客や市民は100億円近くのお金を払ってもよい、と考えていることになります。あるいは、嵐山や保津峡の漂着ごみ問題の被害額は毎年100億円近い、と考えることも出来るでしょう。

ところが、実際にこの問題を解決するために投じられているお金は、ごくわずか。ほとんどボランティアに頼りっぱなしなのが現状です。

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また、

  • 保津川の漂着ごみ問題を知らない人はWTPが66%減少する
  • ごみの多くを占めるペットボトルのデポジット制度[*]に反対の人はWTPが45%減少する
  • 普段から一切廃品回収等の活動に参加していない人はWTPが35%減少する。

という結果になりました。

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[*]デポジット制度とは:あらかじめ飲料品価格にボトル代を上乗せして販売し、ボトルを返却すれば返金される仕組み。写真はフィンランドのコカ・コーラ。20セントがデポジット料金です。感覚的には20円。(ボトルを持っているのは公共経営学科の横見センセ)

また、その一方で家族が1人増えるごとにWTPは15%増加する、という結果が得られました。

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そこで、「子育て世代を中心に、漂着ごみ問題の啓蒙啓発をはかることが、問題解決の近道ではないか?」というストーリーを立て、今回のWEBアンケートと座談会となったわけです。

WEBアンケートの概要は次の通りです

  • 配信日   :平成23年11月29日
  • 配信数   :977軒
  • 回答期間 :11月29日~12月2日
  • 対象者   :亀岡市内の子育て中の主婦
  • 有効回答 :239件
  • 回収率   :24.5%

アンケートに用いたのは、NPO法人亀岡子育てネットワークさんの運用されている子育て情報携帯メール配信システム「あったかメール」を活用したWEBアンケート「ママ声リサーチ」。京都府全域に配信可能ですが、今回は保津川流域と言うことで亀岡市内限定で実施しました。

このWEBアンケートで得られた結果の一部を、こちらで紹介します。
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亀岡を代表する観光地である保津川ですが、漂着ごみ問題が深刻化しているとはいえ、まだまだ認知は低く81%の方が知らない、と答えています。しかし何となく知っている、という人も18%あり、これは他地域と比べたら多いという見方もできます。
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漂着ごみは何が原因と思うか、という質問に対しては、ポイ捨てやBBQごみ、という答えが多くありました。たしかにこれらも多いのですが、その一方でゴミ捨て場の管理が不十分なことで散乱した生活ごみも多い、ということはあまり知られていません。
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また、ペットボトルが多いだろう、と考える人は多いですが、実際には(ペットボトルも多いものの)、破片化してしまう発泡スチロールはあまり認識されていません。ちなみに右のグラフのデータのもととなった調査の様子は保津川下りのホームページでもご紹介いただきました(大阪商業大学の学生さん保津川ゴミ調査。2010.10.2

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最近では、以前から行われていた自治会や町内会の清掃活動に加えて、NPOや行政が実施する清掃イベントも亀岡市では増えてきていますが、まったく参加したことがない、と言う人も29%にのぼりました。
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また、こうした清掃活動に全く参加していない、という人の理由を聞いたところ、上記のような答えとなりました。

深入りしたくない、って、切ないなあ・・・。でも、そういう声を真摯に受け止めないと。情報の伝え方も含めて、自治会やNPOサイドにも改善すべき点が多々あることが伺えます。
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保津峡の木々には、レジ袋もたくさん引っかかっています。今、地域で出来る対策として、レジ袋の有料化が多くの市町村で進められていますが、その賛否や妥当と思う金額を訪ねたところ、「5円」という回答が多く寄せられました。

さて、座談会の様子は・・・、これまた盛りだくさんの内容になり、貴重なご意見をたくさんいただきました。

座談会の様子は、Twitterでメモもかねて中継したところ、沢山の方にリツイートしていただき、またいろいろとご意見も頂きました(これも面白かった)。お時間のある方は、ツイートをまとめていますので、ご覧ください。

ごみ問題にかかわらず、市民レベルで社会問題を楽しく考えるヒントがいっぱいです!

今年は亀岡市で、内陸部初開催となる海ごみサミットも開催されます。川から海へ、人のつながりの中で環境を守ることが出来れば、と思います。

最後になりましたが、調査にご協力いただいたNPO法人亀岡子育てネットワークのみなさま、保津川遊船企業組合のみなさま、亀岡市環境政策課のみなさま、ありがとうございました。

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