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2012年1月27日 (金)

福岡で、考えた

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昨日から2日間、大学の校務で福岡に出張でした。3年ぶりの福岡、久々に訪れてましたが、元気いっぱい、そして活き活きとした女性の姿が印象的な、そんな素敵な町でした。

外国人、とくに中国人の観光客の姿は、やっぱり物理的な距離が近いこともあってかたくさん見かけます。そういう意味でも、東京や京都、あるいは大阪とも全く違う活気にあふれている、何と言うのでしょう、大陸に通じる町なんだなあ、と感じる、そんな町です。

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往路は、昨春デビューした「さくら」号。なんとも快適な車内です。

さて、その車中で、大学の情報発信のあり方について、同行の職員さんとお話しが盛り上がりました。ちなみにうちの大学は、地域のみなさんにも大変なご協力をいただいて、フィールドワーク・ゼミナールというプロジェクト型の科目を運営しています。そんなこんなで、仕事柄?、自治体や地域の情報発信についても話は飛び火。

自治体の情報発信、といえば、今、全国の自治体のトップを突っ走っているのが、Facebookでおなじみの佐賀県武雄市。ノートPCで、完全にFacebookに移行した武雄市役所のホームページ、樋渡市長のFacebookページやブログを見ながら色々談義。

それで、話は終わり、と思いきや、ですよ。

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はい、博多駅で見つけました、武雄温泉の広告。

いやあ、そろっているようでそろっていない、おばちゃんたちの服装がまた、いい意味で「フツーさ」を醸し出してます。

樋渡市長は常々、自分は武雄市の広報宣伝部長である、とおっしゃっていますが、なるほど、そういうことか、と実感しました。いろいろと注目を集める施策を打ち出す(これだけでも、十分スゴイことですが)、それをTwitterやFacebookを使って積極的に情報発信する。新聞や雑誌も取り上げる。

すると、それが話題になるわけです、当然。九州に向かう新幹線や飛行機の中では、僕らのような人たちが少なからず、きっと武雄の話をしているでしょう。で、博多駅のような交通のターミナルで広告を見つけると、「あ!」となるわけです。意味もなく、嬉しがって写真を撮ったり(笑)

考えても見てください、世の中に、星の数ほどある広告。それこそ、博多駅のような大ターミナルの中で、目立つなんて大変。お金もかかります。実際、武雄のこの広告もそれほど大きなものでもなければ、めちゃくちゃに目立つような場所にあるわけでもありません。

それでも私たちだけじゃなく、何人かの人が、指さしながら話をし、写真を撮っていました。すると、武雄に興味のない人、Facebookなど使わない人も、「ナンダナンダ」となるわけです。言ってみれば、僕も武雄市の宣伝マンの1人を勝手にやってるようなもんです。

一方通行じゃない、双方向のソーシャルメディアだからこそ、余計にその反響は大きくなります。たとえば、私は自分のFacebookページで、この広告のことを取り上げました。すると、さっそく樋渡市長からは「頑張ります!」のコメント。「よくチェックしてはるなあ」と思います。

で、それだけではない反響が。

東大でコモンズ論を研究している友人からは、武雄温泉は、集落管理だった温泉を株式会社化して管理している、というお話しを教えてもらいました。これ、いわば「温泉コモンズ」。江戸時代に、薪をどうのこうのとお触れも出ていたような、興味深い温泉だと。

ちなみに、コモンズ(Commons)とは、人々が共同で利用する資源(Common Pool Resource: CPR)や、それをとりまく社会の仕組みの総称です。たとえば日本には昔から「おじいさんは山へ芝刈りに」行く、「入会山」(共有山)がありました。みんなで使うからこそ、山が荒れないように、色々なルールが村の中にありました。

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そういう仕組みは、世界各地に見られますが、先進国の中でも日本は今もしっかりとそういう仕組みが残っていて、しかもきちんと機能している例が少なくありません。温泉で言えば、武雄の他にも、たとえば兵庫の城崎温泉は泉源を「湯島財産区」という特別地方公共団体にして、地域の共有財産として管理し、そして様々なルールを地域で定めています。

地区のポリシーも「共存共栄」。今では、日本一の温泉の呼び声も高い城崎ですが、何百年に渡る地域の人々の営みがその根底に流れていると思います。

世界各地のこうした事例を丹念に集めて、政府でもない、企業や個人だけでもない、「共」的な資源管理の重要性を説いたE.Ostromは、2009年のノーベル経済学賞を受賞しました。

今、世界の途上国には、こうした日本の経験が「輸出」されて、地域の発展に活かされています。私たちの日本は技術立国、ものづくり、だけの国じゃないんですよ。ところが、肝心の日本人はそのことを知らなかったりして、「古臭いモノ」として軽く見たりしているのが、ちょっと残念です。もっと、自分たちの国が育んできた文化を、誇りを持って見直さないと!


さて、21世紀に生きる私たちは、地域に何を残せるのか。世界にどんな情報を発信するのか。今までとはまったく異なる情報化社会の中で、新しい試みが、日本のあちこちで産声を上げ、芽を出しつつあります。なんだかワクワクする時代が、地方から起こりつつある、そんな楽しい予感がした、福岡への旅でした。

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コメント

原田様
ブログ読ませて頂きました。
とっても、心温まるものですね。写真の取り方も文章も素晴しいです。
色々勉強させて下さい。
ありがとうございます。
山本明美

投稿: 山本明美 | 2012年1月28日 (土) 02時07分

山本様
コメントありがとうございました。
実は私はまだ九州は福岡以外、行ったことがありません。
仕事オンリーで(笑)
しかし、訪ねる度にどんどん魅力的になってきているなぁ、と実感します。
新幹線もつながったことだし、ぜひ家族で訪ねたいと思います。
これからもよろしくお願いします!

投稿: harada | 2012年1月28日 (土) 19時12分

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