« 実りの秋 | トップページ | 被災地を訪れて、見たこと、考えたこと(1) »

2011年11月 9日 (水)

TPP、さて、どう考える?

321695_281089615253982_100000588379

にわかに私の周りでも盛り上がっているTPP論議。

賛否双方に眉唾物のトンデモ議論がはびこっていますが、それはさておき、TPP云々以前に、日本の農村はすでに疲弊し、崩壊までカウントダウン中だ と思います。今の日本の農村、農地を支えているのは、人々の「先祖代々からの土地だから守らないと」という義務感だと、私の研究でも論文にしていますが、 中山間地の農家の平均年齢が60歳をゆうに超える中で、どうすればいいの?という方向性はまったく示されていないのが現状。

TPPによって農村崩壊、なんてそんなアホな、と思います。なぜなら、そんなこと関係なしに崩壊してますから、すでに。

じゃ、どうすればいいのか。大きな示唆を与えてくれる一冊です。

41xexmayerl_bo2204203200_pisitbst_2    
    コモンズ研究のフロンティア―山野海川の共的世界
三俣学、 室田武、 森元早苗
出版社: 東京大学出版会 (2008/03)
ISBN-10: 4130460951
ISBN-13: 978-4130460958
発売日: 2008/03

経済学=市場のみを考える学問、そんな誤った概念を的確に批判している、一橋の岡田先生のコメント。E.Ostromのノーベル経済学賞受賞(2009)に際して出されたコメントですが、実に鋭い。ぜひ、ご一読を。

お隣、韓国の東亜日報のコメントも秀逸。

「オストロム教授は、市場の失敗も認めたが、政府の中途半端な介入が生んだ非効率性も叱責した。オストロム教授が強調するのは、共同体の回復であり、市民社会の健全性だ。」
 
これは、今の日本社会にも求められていることだと思います。ちなみにOstromがノーベル経済学賞を受賞することになった決め手になった研究の一つに、日本の農村の研究も含まれています。
 
私自身は、農業は特別な産業だと思います。たとえGDPの1.5%に過ぎなくても。だからむしろ積極的に保護すべきだと思います(ただし、今のようなやり方ではなく)。
 
昨今のTPPの議論、センセーショナルな主張ばかりで、地に足の着いた意見が「聞こえてこない」(マスコミが取り上げない)ことが、何やら薄気味悪いのです。賛否は人それぞれでいいと思います。ですが、恣意的に議論が歪められているような気がして仕方がないのです。
 
  農村崩壊、国民皆保険崩壊、といったセンセーショナルな主張は確かに大衆の支持を受けやすく、一見もっともらしく思えます。が、それらを仮に実現しようとするなら、TPPじゃなくてもやりようはいくらでもあるはずで、むしろこういう過激な議論が幅を利かせることに、危うさを感じます。

真の国益を、偏狭なナショナリズムに依らずに、考えたいものです。
とにかく、私も含めて国民の一人一人が、丁寧に考えないといけない、と思います。
 
喧嘩じゃなく、議論を。

|

« 実りの秋 | トップページ | 被災地を訪れて、見たこと、考えたこと(1) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

私の両親の出自も農家ですが後継ぎは居ません。
辛うじて父方の伯父が田畑をやっていますが、その子どもたち(=私のいとこ)は後を継いでないです。伯父がいなくなった時点で終了すると思います。
集落には私のいとこの子供達2名以外、一人も子供は居ません。集落自体の消滅も時間の問題です。

現状既に農業の将来像は見えていませんね。
そういう意味で既に農村は崩壊してるということでしょうか。

先日会社の同僚と話をしていたのですが、農産物が市場開放されたとして例えばアメリカの米を食べたいかと言われればNoだな、と。(関税の率の問題はあるにせよ)
日本の農家ももうちょっと自信を持っても良いんじゃないかと思います。守るだけでなく、攻めて行くと良い結果が出ることもあるんじゃないでしょうか(と言うのは能天気なんでしょうね)

製造業が外に出るための取引として農業をバーターにするというのはおかしいと思いますが、TPP不参加だからと言って農業が延命するというものでもないのではないかと思います。

そんな訳で賛成反対、どちらとは言い難いですね。。。

投稿: ごしゅりん | 2011年11月13日 (日) 13時53分

>ごしゅりんさん
そもそも、TPPと農業問題は別の問題のはず。それを無理やりからめるところに、JAの既得権死守、が垣間見えるのがイヤなところです。

都会に住む、若者の人気職種に農業がなれるかどうか、それくらいの抜本的な改革が必要と思います。そしてそれは、大規模集約化だけが答えではないはず。地域の環境や文化に根差した最適解を考えていきたいと思います。

投稿: harada | 2011年11月30日 (水) 22時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 実りの秋 | トップページ | 被災地を訪れて、見たこと、考えたこと(1) »