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2011年3月20日 (日)

成功体験という老害 ~プロ野球開幕騒動に思うこと

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プロ野球開幕が揺れに揺れている。一ファンとして、思うところを書いてみます。

すっかり有名になった、3月13日付のイギリスの日曜紙「インディペンデント・オン・サンデー」の、この1面のメッセージ。ニュースによると、日本人を奥さんに持つ編集部の方が サンドウィッチマンの伊達さんのブログの記事を英訳して、それにみんなが心を打たれて、地震と津波の悲惨な写真ではなく、このメッセージになったそうですね。以下は、その、伊達さんのブログ。

みんな頑張れ!

岩手県一ノ関にいます。
かなり揺れた地域です。

全てのお店は閉まっています、信号もありません。

でもね、ちゃんとお互い助け合って順番を譲ってあげたりしています、だから変な事故とか争いがありません。

みんなスゴいです!!

戦後、俺たちのじいちゃんやばぁちゃんは日本を復活させた。世界には奇跡と言われた日本の復興。

必ず復興します!
日本をナメるな!
東北をナメるな!

http://ameblo.jp/mikio-date/page-12.html

ひるがえって、今、世間を騒がせているプロ野球セリーグの開幕の問題。デイリースポーツの3月17日付の記事によると、

「東日本巨大地震復興支援」として会を始め、壇上に立った渡辺会長。開幕問題に触れ「開幕を延期しろとか、プロ野球をしばらくやめろとか俗説がありましたが、大戦争のあと、3カ月で選手から試合をやりたいと声があり、プロ野球を始めました。フェアプレー、緊張した試合をすれば見ている人は元気が出て、エネルギーが出て生産力が上がる」と力説した。

伊達さんと渡辺さんの、互いに戦後の復興を引き合いに出したメッセージを読んで、伊達さんは日本人の苦しい中での他人への思いやりの記憶を、渡辺さんは復興して豊かになった成功体験の記憶を説いてるのかな、と思ったのです。同じように戦後の、焼け野原からの復興を引き合いに出したお2人のメッセージ、しかしその意味は全然違う。

いやね、一部に蔓延している自粛をすればそれでよし、というムード、これはまったくダメだと思います。こんな時こそ、元気な地域は元気になって、日本を盛り上げないといけない、それは誰も否定しません。いやむしろ、肯定します。

ただね、直接の地震や津波の被災地だけではなく、計画停電ということで病院や老人ホーム、あるいは在宅で医療機器を使わざるを得ない人、そういう大勢の人が、仕方ないとはいえ苦しんでいるわけです。

たとえば巨人の本拠地である東京ドーム。はやい話が風船です、気圧を高めに保つことで膨らんでいるわけです。室内球場だけにエアコンも必要、照明も欠かせない。なんと、通常の営業時には一般家庭6,000軒分の消費電力だそうです。文部科学省からのツッコミで、さすがにそれはまずいと感じたのか、節電に努めて4割消費電力を削減するとか。って、それでも3,000軒分の電力ですよ!

今、大事なのは「他人を思いやっての盛り上がり」じゃないでしょうか。それこそが、日本人が世界で高く評価されている部分です。自分だけがよければそれでいいわけない、チームプレーたる野球もそうであるはずです。

野球というスポーツがなぜ、日本でこれほどまでに人気を得たのか。それは王や長嶋といったスーパーヒーローだけでなく、広場でも公園でもどこででもできるスポーツだったからでしょう。私も子供のころは、夏場は道路で、冬場は刈り入れの終わった田んぼで、一日野球をしていました。

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野球は、体育館の中でやるスポーツじゃありません。青空の下、土と芝生のグランドで、風を感じながらやるスポーツです。

もし、本当に被災地を勇気づけたいのなら、そして地元東京のファンのために野球をしたいのなら、別に開幕を遅らせなくったっていい。その代り、地方球場でも、多摩川のグランドでも、青空のもとで、そしてたくさん電気を使うナイターではなくデーゲームでゲームをおこなってください。

高度成長という、過去の成功体験を引きずった発想がいまだに日本のあちこちを跋扈している。おじいちゃんやおばあちゃんの知恵袋などではなく、単なる老害ではないか、といいたくなるものもたくさんあります。

停電で苦しんでいる人のことを考えずに、電気を大量に消費しておいて元気を与えるなんて言っちゃう老人、そんなにあなたは偉いのか?津波を天罰だと言ちゃう老人、そんなに東京は偉いのか?

もっと言おう。被災地や被災者を、そしてそれを応援したい市井の人々の気持ちを「元気づける」なんて言葉を使って、ダシにして商売をしてはいけない。収入(収益ではない)をすべて寄付するのならまだしも。

いつまでも戦後の奇跡の復興という成功面、心地よい部分だけを言うのではなく、その陰でたくさんの人が助け合って協力し合ったことを伝えてください。それがあの時代を生きてきた老人の責務だと思います。

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コメント

昨日ツイートした内容と被りますが、半分がメディア企業をオーナーに持つセ・リーグ球団がこの偽善と傲慢を繰り返していることに、甚だ疑問しか感じません。
延期といっても、小手先だけの延期のみ。
そんなに入場券収入が惜しいのかと思うと同時に、メディアは被災支援をどう考えてどこに焦点を当てているのか、その姿勢に疑心暗鬼になっています。
今、計画停電実施地域においてドーム球場で開催するなんて、大企業の驕りと受け止めています。
個人事業主である選手は、実に現実的な対応と声明を行っているので、選手会には頑張ってもらいたい。

プロ野球としてセ・リーグとして被災支援は、開幕強行だけではないはずですよね~。

投稿: Takeuchi | 2011年3月20日 (日) 21時03分

>takeuchiさん
いまや実力、人気ともパリーグのほうが上、その一番の原因は「どこを向いて野球をしているのか」にあるのではないかと思ってしまいます。われらが阪神も、いつの間にかまるで巨人みたいな金満球団になってしまってるし・・・。

テレビ局といえど、すでにメディアとしての存在価値はかなり低下しています。速報性や双方向性ならwebに、ドラマの質ならNHKやWOWOW。深く読むなら新聞。バラエティー番組と情報番組しかできなくなってしまっている民放もまた、かつての成功体験に縛られて身動きとれなくなっているのでしょうか。

別に3/25開幕でもいいんですよ。どっかの、たとえば河川敷のグランドで、全部チャリティーでやるくらい覚悟を決めれば。結局は中途半端な覚悟が、迷走の原因でしょうか。

投稿: harada | 2011年3月20日 (日) 21時22分

がんばれ、日本。
この気持ちを地域のコミニティーから発信したいものですね。
これから、春休み、GWに予定されているイベントを行政や観光産業も自粛ばかりでなく、大人から子供まで元気で活力ある内容で実施できるよう、知恵を出しあいたいものですね。

投稿: tatuharukun | 2011年3月21日 (月) 07時13分

停電が予定されている地域で夜間に電気を大量消費と言うのはどうかというのが大勢かと思いますが、やっぱりセリーグ内ではあの方がひとこと言ったら反論できないんでしょうかね。
パリーグが4月12日ですので、そっちとほぼ併せれば良いと思います。選手会もそう言っている訳で、何を大上段に…と思いますがさてどうなるか。

投稿: ごしゅりん | 2011年3月21日 (月) 11時49分

>tatuharukun
そのためにも、思いやりのない、勝手な興行はやめてほしいもんです。こういう無茶が、かえって無意味な「だからやっぱり自粛」を広げてしまうのではないかと。

投稿: harada | 2011年3月21日 (月) 15時55分

>ごしゅりんさん
ナベツネさんは、開幕のことを他人にとやかく言われたくない、とまで言ったとか。何様やねん!とも思うけれど、それより他球団や監督たちが毅然とした態度を取れないことが、なんだかなぁ、と思ってしまいます。

投稿: harada | 2011年3月21日 (月) 15時56分

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