« プロジェクト保津川 | トップページ | 秋晴れ »

2007年9月 2日 (日)

VWパサート ~クリーンディーゼル初体験

006

先日までの出張中、学会の合間を縫ってイギリス最古の国立公園であるピークディストリクトに調査に出かけました。その際、レンタカーを借りたのですが、その1回目はVWパサート。自分が運転する車としては初めてのクリーンディーゼルの体験です。

現在、欧州の自動車市場で大きな勢力となっているのが独BOSCH社の開発したコモンレールシステムを使用した新世代ディーゼル。

011

わが国でも、メルセデス・ベンツが導入していますが、欧州勢だけではなく

010

欧州勢だけではなく、日本でおなじみこのクルマも、

009

こんなクルマも、リアのバッジには「D」の文字が輝いています。

さて、予約していたレンタカー屋まで徒歩で向かい、キーを受け取るとビックリ。

予約していたのはFord Focus(か同等クラス)、個人的にはWRCで絶好調のFocusにぜひ乗りたいと思っていたのですが、2クラス上のパサートだったからです。ちなみに欧州ではクルマはMTが基本。特に小型車でATを頼むとビックリするほど高い値段なのでご注意を。私自身はMT派なのでどうでもいいことですが。

レンタカー屋のお兄ちゃんが「VWは運転したことあるか?」と聞くので、「いや、最近のはない」というと、イチから解説してくれました。キーはICカード内蔵のカードで、それをスロットに差込んでそのまま押し込むとエンジンスタート。以前のディーゼルのようにグローランプが消えるのを待つ必要などありません。そして、サイドブレーキは、これまたビックリ、ただの「ボタン」。まあ、そのほかは以前からのVW車と同じなので、OKです。ただ、普段日本で乗っているプジョー206と比べると、クラッチのミートポイントが深い、というかまあ普通のポジションなのにちょっと戸惑ったくらい。

さて、エンジンをかけてみての感想。

正直、耳を澄まさないと分からない、というほどではありませんでした。が、それは日本では高級車のパサートですが、こちらでは別にありふれたミドルクラスのクルマで、豪華な装備もない、ごく普通のグレードだったから、ということもあるでしょう。つまり日本向け仕様のように、分厚いカーペットを重ねて敷いたり、遮音材を多用したりしていないこともあるのでしょうが、不快というものではありません。

008

動き始めると驚くのが、ディーゼルらしからぬ軽いふけ上がりのエンジン。回転フィールはガソリン車と変わりません。発進場面など、ごく低回転域では国産車の商用車ほどのトルクはありませんが、高速道路に入ると分厚いトルクのおかげで追い越したい場面でも、5速に入れっぱなしのまま、ちょっとアクセルを踏めばすぐに加速します。

それより特筆すべきはやはり騒音でしょう。150~160km/hで巡航していてもエンジン回転数は2,000rpmそこそこ。一般道のゆっくりとした速度では、多少、エンジン音が気になりますが高速道路では逆にガソリン車よりも明らかに静か。それでいて、燃費はバツグン、燃料計が全然減らない!環境性能という小難しいことを別にしても、一度の走行距離がハンパではない欧州、とくに大陸側でディーゼルが大人気なのもうなずけます。

逆にがっかりした点は、内装。特にシートは残念。これなら同じVWの中でもポロのほうがいいんじゃないか、と思いました。特に、大きな車なのに、意外に小ぶりのシート。座面の短さが気になります。悪くはないけど、良くも無い、というか。

また内装も、近年のVWの定番というべきか、豪華に見せようとしているのは分かるけど、しょせんプラスチックやゴム。見た目の質感は「安っぽさ満点」の私のプジョー206と比較になりませんが、では(日本仕様で比較した場合)100万円以上の価格差がある車のそれか、といわれると、私はプジョーで十分、プラスチックをヘンに他の素材に見せようとしていない分、かえってプジョーのほうがデザインとしてもいいなあ、と思います。(もっとも、同じクラスのプジョー407よりはより戦略的価格、つまりははるかに安いのですが。)

まあ、これは個人個人の感じ方の問題ですが。知り合いの芸大の先生が、ラテン車は、プラスチックをプラスチックとして表現しているからかえってデザインに縛りがなくっていい、というようなことをおっしゃっていましたが、そのとおりだなあ、と思います。どっちみち、夜になったら見えないし(笑)

一方で感心したのは、高速安定性。これはやはりドイツ車ならではでしょう。高速道路をぶっ飛ばしても、全然疲れません。それでもガンガン追い越していくメルセデスやBMWって。。。(笑)その一方で乗り心地は良い意味でドイツ車らしくない、ガチガチのサスではなく、よく動くしなやかな足回り。イギリスの、文字通りワインドした道も軽やかに走り抜けられます。走り出してしまえば、ボディの大きさを気にすることもなく、よく走り、よく曲がる、いい感じの足回りとハンドリングには感動すら覚えます。

007

ところで、イギリスの道路は日本と同じ右ハンドルな上に、マナーは数段上、日本の知らない道を運転するよりよほど走りやすいです。

さらに感心させられるのはランダバウト。いわゆるロータリーですが、結構大きな交差点でもランダバウトが導入されています。中に車がいなければノンストップで通過できるシステム、ドライバーどうしのマナーという信頼関係の上に成り立ったているわけですが、渋滞を起こさない、という意味でも良く出来たシステムだなあ、と思います。

012

そして感心するのは横断歩道にさしかかったとき、もし歩行者がいたら、たいていの車はいったん停止してくれます。都市部の交通量の多い所以外は、横断歩道に信号なんてありません。さらに、当たり前ですが身障者用の駐車スペースには、健常者は決して停めません。日本ではムチャクチャだよ、という話を以前にしたら「信じられない!」と。

013

最後に、決定的に日本と違うのが速度規制。

上の写真は村はずれに書かれた表示ですが、村を出る車はここから時速50マイル、逆方向の、これから村の中に入る車は時速30マイルに落としなさいよ、ということです。

日本の場合、低すぎる速度規制=誰も守らない、だけど警察は取り締まる、という意味の分からないことになっていますが、イギリスの場合、街中に入ると時速30マイル、それ以外は一般道の場合時速50or60マイル、たまに学校近くなどが時速20マイルというくらいで、つまり誰もが守る速度規制になっています。

強制的に速度を落とさせるように、路面に凸が設けられていたり、取締りカメラもあったりするわけですが、普通に走ってればまず超過することのない速度規制です。

快適な道路交通は決して技術のみで実現されるものではない、ということを改めて強く感じました。

|

« プロジェクト保津川 | トップページ | 秋晴れ »

クルマノハナシ」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

TDIのインプレッション、大変参考になりました。
Audi人間の私ですが、そこそこの値段のTDI+MT+quattroだったら次期購入車筆頭になりますね。
まぁ、日本でそんな時代が来るのがいつの日になるやら…。
運転マナーに関しても、さすがに自動車発祥のヨーロッパだけあって素晴らしいですね。
日本では交通行政もデタラメ、免許証持っているとは思えないモラルの低いドライバーが多くて、ストレスが多くなってしまいますね。
日本もヨーロッパ並みの、厳粛かつ気持ちの良い交通環境になると良いのですが、そんな時代が来る日がいつの日になるのやら…。

投稿: Takeuchi | 2007年9月 3日 (月) 23時02分

出張の方お疲れ様でした。
TDIのインプレッションとUKの交通事情の方、大変興味深く読ませてもらいました。
私も一度はヨーロッパ(南部・東部は微妙ですが)で運転したいものです。
マナーの良さと走りやすさの事を聞くと、なおいっそうチャレンジしてみたくなりました。

投稿: なべぞ | 2007年9月 4日 (火) 00時03分

>Takeuchiさん
次は、お待ちかね英国仕様猫車のインプレッションが控えております(笑)個人的にはパサートは初代が一番好きです。今回のパサートで感じた、よく言えば身軽さ、悪く言えば安っぽさは、プラットフォームがA4と共用していたものから、ゴルフ・ベースに変わったことも影響しているのでしょうか。だから劇的に安くなったんですけよね。

個人的には、これだとゴルフでいいかな~、と思いました。国内仕様はまた違うのかな?

投稿: harada | 2007年9月 4日 (火) 00時37分

>なべぞさん
新ディーゼル、いいエンジンではありますが、しかしインポーターがなぜ日本に導入しないのか、ちょっと分かったようにも思いました。

規制もありますが、何より日本の都市部の道路事情を考えるとエンジンのネガティブな側面、すなわち音と振動がどうしても最新のガソリンエンジンに比べると目立ってしまうと思います。ただ、プジョー/ルノーのAT(AL4)のときにも言われたことですが、「日本の道路事情」といっても都市部限定の話ではありますが。

イギリスでのドライブは、ほんと、楽チンです。国内の知らない町より、よほど楽チン!ぜひ機会があればチャレンジしてみてくださいね!

投稿: harada | 2007年9月 4日 (火) 00時40分

フランスで、プジョー博物館までレンタカーでDriveするというのが夢としてあるんですけど、実現は...(笑)

私も一度だけあまり好きではない国であるアメリカ(と言ってもハワイ)でレンタカー経験ありますが、日本よりはよっぽどマナー良いと感じましたです。ヨーロッパだと尚更なんですかね。
しかしなべぞさん同様、イタリア南部やロシアではちょっと考えモンかと思いますが。

投稿: ごしゅりん | 2007年9月 5日 (水) 21時51分

プジョー博物館、クルマ、ペッパーミルや自転車だけではなく、ありとあらゆる歴代プジョー製品が展示されているそうですね。
ハワイも交通マナー、いいですね。Web CGに、日本からポルトガル・イギリスまでクルマで走破した旅の記事が再録されていました。なかなか楽しそう?ですよ!
http://www.webcg.net/WEBCG/essays/i0000016352.html

投稿: harada | 2007年9月 6日 (木) 02時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/148419/16324835

この記事へのトラックバック一覧です: VWパサート ~クリーンディーゼル初体験:

« プロジェクト保津川 | トップページ | 秋晴れ »