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2006年4月15日 (土)

桂昌院ゆかりのお寺と桜

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皆さんは「玉の輿」という言葉の由来をご存知ですか?

江戸時代の初めごろ,京都のある八百屋の娘に「お玉さん」という女の子がいました.

縁あって,3代将軍家光の側室,お万の方に仕えることとなり,それがきっかけで彼女自身も家光の寵愛を受け,将軍の側室となり,のちに5代将軍となる綱吉を産むこととなります.そして将軍の母として,大奥で絶大な権力を持つようになります.家光の死後,落飾して桂昌院となったその人生にちなんで,「玉の輿」と言うようになりました.

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その桂昌院がまだ“お玉さん”と呼ばれていた頃から,彼女にゆかりの深いお寺が洛西の山中にある,西国三十三ヶ所の第二十番札所としても有名な善峯寺です.

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平安時代に創建され,皇室とのゆかりも深く,江戸時代には徳川家からも厚い保護を受け,現在も三十三箇所めぐりで信仰を集めるその寺域は,驚くほど広大で,奥の院からは京都市内はもとより,晴れた日であれば大阪まで一望できるそうです.今日は残念ながら雨でしたが,それが帰って山の中のお寺という雰囲気を高めてくれます.

JR東海の「そうだ京都,行こう」のCMでも,春と秋の美しい情景が紹介されていたので,関東地方の方々ならご覧になったかもしれませんね.(善峯寺のサイトでCMも見られます)

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本堂の前には,お守りを納める可愛らしい「玉の輿」がありました.「お玉さん」にちなんで3匹の仔犬が「玉の輿」を担いで,訪れる人々の幸福を祈ってくれているそうです.

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本堂右上からは,小川治兵衛作の広大な回遊式庭園のスタート.仰ぎ見るように日本一の松と称せられる「遊龍の松」と,桂昌院のお手植えの枝垂桜が目に飛び込んできます.

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この樹齢約600年の五葉松,幹が横に這って,まるで龍のように伸びていることからそう呼ばれています.かつては全長が54mもありましたが,松食い虫の被害が深刻になって,10年ほど前に,残念ながら15mほど切断されてしまいました.とはいえ,一見の価値のある,見事な松です.

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間近に見ると,まるで滝のよう.でも,優しい色の花,圧倒される,というよりは,しみじみと綺麗やなぁ,という言葉が何度も何度も出てくるばかり.

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桂昌院と綱吉,といえば時代劇の中で描かれるように絶大な権力を持つ強い女性,生類憐みの令で有名なように悪政を引いた将軍,といったイメージがありますが,実際のところは,そういうわけではなかったようです.ゆかりの桜や,遺品の数々を眺めていると,本当はどんな人たちだったのだろう,一度会ってみたいなあ,と思いました.

善峯寺のサイト:http://www.yoshiminedera.com/

さて,善峯寺を後にして,バスと阪急で今度は嵯峨を目指します.つい先日も通った嵐山.今日は土曜日なので,ひときわ人出が多いですが,やっぱり何度訪れても綺麗な景色です.

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それにしても今日は寒い一日でした.1週間前には,20度を超えるような晴天が続き,一気に桜も開花して,,,と思っていたら,その後寒さと雨の日が続きます.雨が降ってもなかなか桜が散らずに,長い間花を愛でることが出来るのは良いのですが,いくらなんでも息が白くなるような温度では体もこごえます.

てことで,渡月橋のたもとの茶店,本家桜餅本舗で一休み.冷えた体を温めましょう(笑)

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この桜餅,「道明寺さくら餅」といい,餡に包まれたものと餡なしの2種類があります.塩漬けの桜葉に包まれた方が餡なし. 道明寺(炊いて干して砕いた餅米を戻したもの)だけでできていて,桜の香りが楽しめます.何かのついでに,買ってきてと頼まれることも多いのですが,美味しいんですよ!と~っても観光地,そんなところでは「土産に美味いものなし」なんていわれたりしますが,これはお勧めです.

一服の後,お店を出て,北に向かうと天龍寺があります.つい先日前を通ったばかりだけど再訪.湯豆腐で有名な西山艸堂の桜も綺麗です.

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天龍寺の塔頭のひとつ,妙智院の中に立っている,嵯峨で最も古い湯豆腐のお店.料理は「湯豆腐定食」だけですが,有名な森嘉の豆腐をいただけるということもあり,人気の店でもあります.またいつか来てみよう,と思って,前を素通り(笑).

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方丈庭園からの眺めは,何度見てもいいもんです.今日は大勢の人でしたが,たとえば真夏のとっても暑い日などは,人も少なく,静かで,涼しくて,ボーッとするのに最適(笑)個人的に大好きな場所のひとつです.

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奥の百花苑には,色々な花が咲き誇っていて,これまた「綺麗」としかたとえようのない眺め.散り始めた桜の花と雨に濡れて瑞々しい苔,目にも鮮やかな山吹や躑躅,石楠花...まるで夢の世界を漂っているような気がします.

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そうそう,境内にはこんなカエルが.腕組みをして,まさしく「カンガエル」??

天龍寺の裏からは竹林の中を通って,色々な場所に行くことが出来ます.

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そこで裏口を出て,竹薮の中を通って野々宮神社の桜を見ながら,さらに北へ.この辺りを歩いていると,先日倒産した某呉服販売店のCMを思い出しますね.かなり以前からあくどいことで有名だったのですが...

目指したのは,嵯峨の釈迦堂としておなじみの清涼寺.ちなみに森嘉豆腐はその門前にあります.

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住宅街の中に突如として現れる立派な山門.中学生のときに,この門前に住んでいる友達に「お松明」に連れて行ってもらったのですが,あれには驚き感動しました.思えば私の寺社好きは,それが原点かもしれません.

境内に入ると,鐘や笛の音が聞こえてきます.何の予定も無く訪れましたが,今日は狂言の奉納が行なわれる日だったのですね!

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これはラッキー,としばし見物していきました.今日の演目は,船弁慶.静御前と別れ船に乗り込んだ義経と弁慶に,平知盛の亡霊が襲い掛かる,という内容.水夫役の子どもの動きがユーモラスで笑わせてくれます.

動画で亡霊登場シーン(水夫の動きに注目!)

壬生寺や閻魔堂の狂言同様 ,いわゆるパントマイムとでもいうのでしょうか,台詞のない芝居ですが,これがなかなか面白い!こうして身近に伝統芸能に触れられるというのも,いいもんですね.

嵯峨大念仏狂言:http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zennaka/kyogen.html

この清涼寺も善峯寺同様,桂昌院によって再興されたお寺です.境内には,徳川と覇を争い敗れた豊臣秀頼の首塚もあったりして,学校で習う日本の歴史が,改めて,本当にあったことなんだ,と身近に感じられます.

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そろそろ夕方になってきました.広沢の池のほとりを経て,市バスで市内に戻ります.

広沢の池を訪れたこと,ありますか?

もし,まだないのでしたら,是非一度は訪れてみてください.それもできれば早朝か夕暮れ時に.場所はいわゆる嵯峨野の中になりますが,大勢の観光客が訪れるいわゆる中心エリアかなり離れています.歴史的風土特別保存地区に指定されていることもあって近くにはみやげ物屋さんも,食べ物屋さんもほとんどありません.

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まわりに広がるのは,池と田畑,そして山.静かな静かな風景です.でもここが,平安時代より多くの人に愛されてきた別天地としての,本来の「嵯峨野」の景色を色濃く残す,そんな場所です.

日本の三大名月観賞池として三沢と呼ばれる池があります.奈良の猿沢の池,そして京都の大沢の池と広沢の池です.

“いにしへの 人は汀に影たへて 月のみ澄める 広沢の池”(新千載集 源三位頼政)

“あれにける 宿とて月は 変わねど 昔の影は なほぞこひしき”(風雅集 薩摩守平忠度)

平安時代末期,ここを訪れた源平を代表する武将が,広沢の池を訪れたときに詠んだ歌とされています.その後,数奇な運命をたどる彼らですが,その頃の月はいったいどんな風に見えたのでしょうね.

ところで,この広沢の池は農業用のため池でもあり,そして養魚池でもあります.春に鯉や鮒,もろこの稚魚が放流されて,冬を迎えると1ヶ月ほどかけて水を徐々に抜いていきます.人が入れるくらいの深さになったところで,大きく育った魚を獲って,その場で,近所の人々や市内の料理屋さんなどに売られていきます.その様子は毎年テレビでも放映されて,京都の冬の風物詩としてすっかり定着しています.

さて,夕食は木屋町御池上ルの「豆屋源蔵」で頂きました.

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お豆腐を中心にした季節感あふれるお料理は,雰囲気はとっても良いのにリーズナブル.ちなみに上の写真は,筍の木の芽和えと,花見団子に見立てた一寸豆と帆立と海老,そして桜の花びらに見立てた百合根.

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美味しいお食事を頂いて外に出ると,壁の向こうに高瀬川の桜が見えます.その桜の花の下には,高瀬舟.

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市内の桜はだいぶ散りました.「里の桜」はひとまずこれで見納めですね.

...それにしても寒い一日!.そんな中,思いっきり観光してしまいました (^^ゞ

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コメント

大長編ですね
善峯へ行かれましたか。昨日近所を走っていたら善峯寺行きのバスとすれ違いましたが、この時期はフルサイズのバスを出してるんですね。あれであの道を観光バスと(以下略
ちょうど良い按配だったようで何よりでした。私もまたそのうち観光シーズンでないときにでも立ち寄ってみます。

>広沢池
物集女街道~松尾橋~清滝道~広沢池~山越通~R162で高雄・京北・美山~R9で帰還するのが独身時代の休日Dreive定例コースでした。朝6時頃出れば8:30か9時には戻って来れる良いルートです。
今は休日も忙しくそんな暇がなくなりましたが(笑

こうして写真で見せられると、京都っていい所だなーと実感しますね

投稿: ごしゅりん | 2006年4月17日 (月) 10時06分

>大長編
はい,土曜は久々の完全Offだったんです.で,ずっと行きたいなあ,と思いながら行ってなかった善峯さんに行くことができました.小さい頃には連れて行ってもらってるらしいのですが,記憶無し...(笑)気分の赴くままに歩いていたら,いつの間にか大長編になってしまいました.

>休日Drive定例コース
私の場合は,京都駅で待ち合わせ,周山街道(R162)~日本海~R9で帰る,というのが定例コースですね.どうも私を含め,京都の人は,北へ向かうのが好きなようですね.京北といえば下旬になると常照皇寺の桜ももうすぐですね!仁和寺にも,R大学に行く予定があるので,ついでに寄ってやろうと画策中.まだまだ花見は終わりません(笑)

投稿: harada | 2006年4月17日 (月) 12時34分

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